塾講師のつれづれ日記

塾の講師をしながら考えたことを書いています

蝶にはなれないから

突然ですが、イモムシをある視点から考えてみます。イモムシはどうして蝶になるのでしょうか?・・・イモムシはある植物の葉しか食べません。自分のいる所の葉を食べつくしたからといって、次から次へと葉を渡り歩くほどの行動力もありません。そこで蝶に変化して餌を探す行動力を得るのです。でも人間はどんなに生き方を変えたくても、体は変化してくれません。行動力のある人になりたくても羽は生えません。その代わり人間には考えや意志を持てる脳があります。ひとつのことをプラスにもマイナスにも考えられる自由な脳です。自分はどうしたらいいのかわからない時は、自分をあらゆる方向から考えてください。自分がマイナスと思っている所は本当にマイナスなの?・・・とか。たくさん考えて、そして、なりたい自分になれるようにしていきましょう。

その状況の中でベストを尽くす

私が生徒を褒めるとき、ひとつの基準があります。それは「ベストを尽くしているか」ということです。どんな人にもそれぞれマイナスの環境があります。クラブが忙しくて勉強の時間が取りにくいとか、兄弟がうるさくて勉強に集中できないとか、学校の先生のすることが理不尽とか。自分の努力ではどうにもならない、避けることが出来ないマイナスの環境は誰にでもあります。大切なのは、そのマイナスの状況の中でもベストを尽くすことです。何かのせいにするのは簡単ですが、そうはしないで、自分に出来る精一杯のことをやってくれたら、私は思いっきり褒めます。

個性と思い認める

A君とB君がいます。A君は目標を設定すると、それに向かって効率的にどんどん進んでいきます。人よりも早く目標に到達して、その先でいろいろな経験をする時間を得ます。B君はいつもいろいろなことに「なんで?」と思うタイプで、目標に向かう時もゆっくりと進みます。目標に到達するには時間がかかりますが、効率的というだけでは経験できないものを見たり感じたりします。

A君とB君のどちらがいいかということではなくて、これがそれぞれの個性です。それぞれが自分の個性だと思い、周りの人もこれを個性と認めてあげられたら、楽しくて有意義な人生になると思います。

みんなには意志がいる

赤ちゃんが「ママ、パパ」と言えるようになるとき、赤ちゃんは、言えるようになりたいという意志を持っているのでしょうか。おそらく、そんな意志などなくても、1日中「ママですよう。パパですよう。」と聞かされているうちに言えるようになっていくんだと思います。ましてや、「ママですよう。」などと言われるときにニコニコ顔で言われたら、「ママ」というのは楽しいことなんだと思って、覚えてしまうものだと思います。これを勉強に当てはめるなら、勉強を楽しいものだと思いながら1日中やっていれば、意志など持たなくても出来るようになるということです。

では皆さん、勉強を楽しいと思いながら1日中出来ますか。残念ながらほとんどの人は無理だと思います。ですから、勉強が出来るようになるには、「覚えるぞ!出来るようになるぞ!」という明確な意志が必要なのです。

「結果」じゃなくて「変化」を見る。

熱を測ったら39.0度。これは大変です。でも同じ39.0度といっても、熱が上がり続けている途中の39.0度と、下がり始めてからのそれとでは評価は違います。38.5度が39.0度になったのなら、どこまで上がるんだろうと心配になります。さっきまで39.5度あったのが下がってきたのなら、ちょっとほっとする39.0度です。大切なのは39.0度ということではなくて「変化」です。

勉強も同じで、今回のテストが70点だったとして、どういう変化の中の70点かということです。

頑張ろうと思ってやりだしたからといってすぐに結果に表れるとは限りません。思ったほどの結果ではない70点かもしれません。そんな時すぐに「なーんだ、ダメじゃん。」なんて思わないでください。頑張ろうと変化している自分を大切にしてください。変化を続けていれば、必ず結果もついてきます。

お父さんお母さん、子供の変化をしっかり見て、変化を喜んであげて下さい。

えっ!時間がない?

「本当に時間がなかったんやで。」宿題が出来ていなかった時に生徒から言われる言葉です。「日曜日は買い物行ったし。」と言うので、何時間行っていたのか聞いてみるとせいぜい3時間くらいだったりします。「水曜日は見なあかんテレビがあったし。」なんて言われると、“えっ!”と思ってしまいます。でも怒りません。考えてもらいます。

日曜日、買い物から帰ったのは何時で、その後何をしたのか。水曜日の見たいテレビはいいとして、じゃあ火曜日はどうだったのか。“本当に時間がない”ということはどういうことなのか。いろいろ話してみると「本当に・・・」が実は本当ではなかったことに気づいてもらえます。「本当になかったのは、時間じゃなくてやる気だよ。」というと、納得してくれます。

間違った自分から学ぶ

答えが違った時、とりあえず間違った答えを消してしまう生徒がいます。間違った自分を消し去りたい、リセットしたいという気持ちが伝わってきます。

でもこれでは、“間違った自分から学ぶ”ということが出来ません。正しい答えが見つかるまでは、間違った答えを消さないで下さい。間違った答えをよく見て、何が違ったのかな?なぜ間違えたのかな?と考えることで、間違う自分を知ることが出来ます。自分がどんなミスをする人間なのかをきちんと知っておけば、似たような問題や似たような場面で意識して気をつけられるので、次のミスを防ぐことができます。

残りを調べる

社会の宿題に次のような問題があったとします。

「江戸時代のはじめ、海外渡航の許可状を持った船が、東南アジア各地の港を訪れ、おこなった貿易を何と言いますか。次の3つの中から1つ選びなさい。」

朱印船貿易 ➁南蛮貿易 ③勘合貿易

わからなければ、当然調べることになります。江戸時代の貿易について教科書をペラペラめくっていくと、「朱印船貿易」と出てきます。

「出来たー! 答えは ①」

でも、これで終わったのでは、答えを見つけただけで勉強をしたとはいえません。この宿題には必要がない残りの2つも調べて覚えようとすることが勉強です。そうしておけば、別のときに、残りの2つのことが問題に出たときの力になります。

 

 

 

 

甘えび1匹8円の命

昨日、買い物をしていたら石川県産の甘えびがとても安く売っていました。1パックにたくさん入っていて税抜き298円でした。すごく得をした気分で買って帰りました。

ところが、夜、食べるために甘えびの頭を外して殻をむきながら、この甘えびたちは、1匹いくらなんだろうと考えてしまいました。甘えびは全部でちょうど40匹でした。計算すると1匹8円です。買った時は安さを喜びましたが、殻をむきながら“1匹8円の命”と妙なことを考えてしまいました。

人間の“経済”がつけた価値が“値段”です。本当の価値は値段じゃないところにあるなあと考えたりしていました。

大きな柿の木

私の家の窓から大きな柿の木が見えます。うす緑色の葉が茂って枝が隠れてしまうほどになってきました。1か月前には枝の先の辺りにちょろちょろと葉が揺れているくらいの可愛らしさでしたが、今は堂々としたものです。

もしも柿の木を1日中見ていたとして、朝と夕方の違いに気づく人はいないでしょう。昨日と今日の違いさえ分からないかもしれません。でも、1か月前とならはっきりとその成長が分かります。柿の木が成長しているという事実はひとつなのに、視点を変えると感じ方は変わります。いろんな視点で考えることの大切さを教えてくれます。

墨汁は使わない。墨をする。

私が子供のころ、学校で習字をする時、墨汁は使わずに墨を硯ですっていました。習字の時間の直前の休み時間に遊んでいたり、バタバタと動いていたりしたままの気持ちで字を書くわけにはいきません。墨をする時に、硯からこぼれないように服につかないように気をつけて、いい字を書こうと思いながらすれば、自然と心は落ち着き集中力は高まっていきます。習字は上手に字を書くための時間ですが、字を書くことそのものより、墨をすりながら集中力を高めることの方が大切だったように思います。

結果を出そうとする時、結果を出せるだけのいい状態を作ることが何より大切だと教えてもらっていた気がします。

 

テレビにやられた

先日、面白い経験をしました。書かないといけないものがたくさんあって、リビングで書いていました。しばらくして家族が来て「テレビつけていい?」と聞くので、「いいよ。」と答えました。テレビがついた途端に私に変化がありました。それまで、1文字も間違わずに書いていたのに、テレビがつくといきなり3か所も間違えて、修正ペンを使うことになりました。ついていたテレビに興味があるわけではなかったので問題はないと思っていましたが、ちゃんと耳はテレビを向いていて、影響されてしまったわけです。0か所が3か所。集中力のもろさを数字で突き付けられました。

新しい教科書、よれよれになれ

生徒がもらったばかりの新しい教科書を持ってきました。表紙はピカピカしているし、紙はピンとして張りがあって、4月を感じさせてくれます。早速それを使って学習をしました。さて、この新品できれいな教科書は1年後どれくらい汚れているでしょうか?丁寧に大切に使ってきれいなままという几帳面さもいいのですが、私は、何度も何度も使われてよれよれになってくれていたらいいなあと思っています。1年後、「ずいぶんこの教科書で勉強したなあ」と思えるほどに使い込んでほしいものです。

それぞれの入学

今週は入学式が続いています。早速、生徒たちはいろいろなことを話してくれています。教科書が分厚くなって重たい話。初めての電車通学で、満員でギューギュー詰めと思っていたのに、さらにそこにおじさんが乗ってきた話。担任の先生は隣のクラスの先生よりはイケメンではないけれど、優しい先生でよかった話。話を聞いていると、同じような出来事でも生徒によって受け取り方はまちまちで、やはり一つの価値観で考えてはいけないなあと改めて感じています。

4月の「自己紹介」

もうすぐ、入学や進級の4月です。心待ちにしている人も多いと思いますが、あることに不安を抱えている人もいます。「自己紹介」です。知らない人たちの視線を受けて、自分のことを話すのが苦手な人です。「何を言えばいいんだろう。自己紹介なんてなかったらいいのに。やだなあ。」せっかくの入学や進級が憂鬱になってしまうのは残念なことです。うまく出来ればいいのはみんな分かっています。それが出来ないから苦しいのです。自己紹介の時、大きな声が出せない人がいるかもしれません。でも、その人はそれが苦手なだけです。

どんなことにも、得意な人がいて、何とも思わない人がいて、苦手な人がいます。いろんな人がいることが社会です。認め合える社会ならいいなあと思います。